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医療法人 誠志会 砥部病院

砥部病院
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名誉院長の麻生だより

2014/06/17

 松山看護学校准看護師科において講義をしたときの話です。
ATP(アデノシン3リン酸)の講義を終わった時、生徒より「先生、結局ATPとは何でしょうか」と質問をされました。私にとって考えたこともない根本的な質問であり、どう教えたら良いかわからず立ち往生しました。そこでATPのことは、「ごめんなさい、宿題とさせて下さい」と言って、持ち帰ることにしました。家で息子の教科書を読んでも、インターネットの情報でも、どう教えたらよいのかわかりません。そこで考えたのが済美高校の生物の先生がどう教えておられるかを聞きに行くことでした。ちょうど研究室に3人の先生が居られ、ATPの授業をしたプリントをいただくことができました。代謝における同化作用とはエネルギーを吸収し、異化作用とはエネルギーを放出する作用であるところから書いてあり、ATPの構造、加水分解によるエネルギーの放出について、無理なく説明することができました。
 それから、日常のいろいろな事の中にも根本がわかっていないことがたくさんあるのではないかと思うようになりました。朝の連続テレビ小説では、ブラックバーン校長先生の卒業式の祝辞で、学校の存在意義の根幹がわかり感動しました。以下は校長先生の英語のスピーチを主人公のはなが同時通訳したものです。「私の愛する生徒たちよ、我とともに老いよ。最上の物は尚あとに来る。今から何十年か後にあなた方がこの学校生活を思い出して、あの時代が一番幸せだった、楽しかったと心の底から感じるのなら、私はこの学校の教育が失敗だったと言わなければなりません。人生は進歩です。若い時代は準備の時であり、最上のものは過去にあるのではなく、将来にあります。旅路の最後まで、希望と理想を持ち続け、進んでいく者でありますように」型破りですが、すてきな祝辞の中に人生の本質が言い表されていると思います。若い人だけではなく、年老いた人も、人生の旅路の最後まで希望と理想を持ち続け、最上の喜びは、まだまだあとに来ることを信じて、しっかりと地に足をつけて生きて行こうではありませんか。
平成26年5月22日

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